no.53 蒸留
本日は「蒸留」について。
下の写真は蒸留機の写真です。下のふくらみから上に行くにつれて細長くなっていきます。初めて山崎の蒸留所に行ったときに見た蒸留機に圧倒されたのを今も鮮明に覚えています。形が一つ一つ個性的で、奥ゆかさがあるというか「時」を感じました。
単式蒸留器と連続式蒸留機をそれぞれ詳しく見ていきます。
<単式蒸留器>
図を見ていただくとわかりやすいです。
①なぜポットスチルは個性的な形をしているのか?
蒸留窯で蒸留された成分は「かぶと」まで上がってきます。成分の一部は器壁に触れて冷やされて凝縮し、再び釜に戻ってしまいます。これを「分縮」と呼び、分縮が起こるたびにエタノール純度が高くなります。これを「精留」と言います。分縮の程度はウイスキーの香味に大きな影響を及ぼすので、「かぶと」とパイプの形は重要でこれらの影響を計算に入れたうえでポットスチルは設計されます。一般的にくびれが多くパイプが長いほどすっきり軽めの蒸留液になります。
②なぜ銅から作られているのか?
蒸留液には様々な成分が存在し、中には不快な香りのする成分も含まれます。その不快な香りを取り除いてくれます。さらに、熱効率がいいことやエステル化反応を促進することがあげられます。
前回「初留」と「再留」について紹介しましたが、ウイスキーの拘りをより理解していただく為に「再留」をもう少し詳しく見ますと、再留はさらに「前留」「中留」「後留」の3段階があり、前留の際に抽出される蒸留液を前留液、後留の際に抽出される蒸留液を後留液と呼びますが、この2つは雑味が多かったり刺激的過ぎたりと取り除かれることが多いです。中留液だけを収集するとそのウイスキーの個性がわかりやすいスムーズなウイスキーになりやすいです。
<連続式蒸留機>
図を見てみても少しわかりずらいかもしれませんが、連続蒸留機とは常に蒸留を止めない蒸留機だと考えていただければいいかもしれません。鍋をずっと沸騰させ続けると味の濃い鍋が出来上がるのをイメージしていただければわかりやすいと思います。単式蒸留のポットスチルとは反対に連続式蒸留はパテントスチルと呼ばれます。税金対策として釜が小さくて効率の良い蒸留ができる装置を開発していて、特許を発行したことが由来です。蒸留の特徴は不純物や特定の成分を排除してしまうため味わいがクリーンで軽やかです。
次回は「no.54 樽熟成」です。お楽しみに^^
ウィスパー(Whisper)
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