お酒のあるライフスタイル

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no.131 Sake 1

本日から10日間にわたって日本酒をご紹介します。

 

初回の今日は「日本酒の定義と分類」についてです。 

 

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日本酒といえば皆さんは何のブランドを思い浮かべるでしょうか。

 

プレミアムな日本酒として有名な「獺祭」や「十四代」、もしくは「八海山」や「久保田」かもしれません。若い方はあまり日本酒に馴染みがないかもしれませんが、少し勉強するだけで楽しめるのが日本酒のいいところです。複雑な分、種類も多く違いが分かりやすく、ワインやビールに比べても比較的リーズナブルに楽しめます。

 

では日本酒の定義から見ていきます。

日本酒の定義は、「米と麹と水を原料とし、発酵後に濾過した、アルコール度数が22%未満の醸造酒」とされています。

 

ここで一つ疑問が出てきます。「麹って何?」

麹とは簡単に言うと東洋特有の微生物の王様です。日本独特の気候風土により自然発生した世界でも類を見ないこの微生物は、デンプンをブドウ糖に、タンパク質をアミノ酸に分解する性質が強く、しかも効果的に脂肪を分解吸収するので、東洋微生物の王様とも呼ばれています。麹そのものを食することはありませんが清酒のほかにも、味噌、醤油、鰹節などの発酵製造に利用され、日本人の食生活には欠かすことのできない存在です。

 

日本酒を選ぶ上で一番わかりやすい、実用的な分類分けを2つまずはご紹介します。

 

①製造過程においてアルコールを添加するかしないか

 

日本酒の製造過程において味の調整や香りを引き出すことを目的として、最大10%までアルコールの添加が許されています。アルコール添加をしていないものを「純米酒」と呼び、添加したものを「本醸造酒」と呼びます。純米酒醸造の過程で造られた糖や酸をしっかりと感じられる、どっしりとした飲み口のものが多く、お米らしい甘みや香りを楽しむことができます。またアルコールを添加しているからと言って品質が低いというわけではありません。もろみの中で麹と酵母が活躍することで、アルコール以外にもアミノ酸や醸し切れなかった糖が発生します。これは日本酒の特徴である旨味になりますが、多すぎると逆にくどくなり、慣れていない人にとっては飲みにくさの元にもなります。アルコールを少量加えることでこれが緩和され、すっきりとした飲み口になるのです。

 

②精米段階でどれくらいお米を磨いたか

 

精米歩合と呼ばれる精米段階でお米をどのくらい磨いたかが、日本酒の風味や香りを引き出すうえでとても重要になります。精米歩合が低い米で仕込んだもろみには、麹の作った糖以外の栄養素、つまり米由来のアミノ酸などがほとんど無い状態になりますが、これは酵母菌にとっては住みづらい環境なので、酵母自身が生存していくためにアミノ酸やリンゴ酸などの有機酸を作り出します。これが香りや風味の源となります。精米歩合が60%以下のものを吟醸酒、50%以下のものを大吟醸酒と呼びます。