お酒のあるライフスタイル

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no.104 Gin base 3

本日はGin BaseのMartiniについて。

 

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ドライジンとベルモットだけを混ぜ合わせて、オリーブを添えたシンプルなカクテル。色々な由来の諸説がある中でも有名なのは、1910年代ころにニューヨークのニッカボッカー・ホテルにいた「マルティーニ」という名のバーテンダーが考案したという説が一番有力とされています。そのほかには、カクテルで使用するベルモットが、マルティニ社のものだから、キリっとしたテイストがイギリス陸軍のライフル銃「マティーニ&ヘンリを撃つ際の衝撃のようだなど沢山の諸説がございます。映画好きの方なら、「007」の主人公、ジェームス・ボンドの有名なセリフの一コマ「Vodka Martini Shaken not stirred(ウォッカマティーニを。ステアせずにシェイクで)」とセリフを決める名シーン。本来はジンで作るマティーニウォッカで、なおかつシェイクして出してくれというニュアンスの台詞が受け、流行となり、「007」シリーズで定番になりました。また、小説「カジノ・ロワイヤル」では、ボンドが、ゴードンジン・ウォッカ・キナリレー1/2をよくシェイクしてシャンパングラスに注ぎ、レモンの皮を入れてくれというオーダーをしました。2006年に同名の映画が公開され、より世界中で有名になり、ボンドガール(映画に登場する女性の役)の名前を採り「ヴェスパー」あるいは、
「ヴェスパー・マティーニ」と呼ばれファンの間でこのレシピが有名になりすぎて、大量生産されていなかったフランス産のヴェルモット「キナ・リレー」が一時生産中止になるまで、世界中で親しまれたカクテルです。今では、「リレ・ブラン」という名前で販売されておりますが、やはり味が違うので本来の「ヴェスパー・マティーニ」を再現することは難しくなりました。小説好きの方なら、いろんな作品でたびたびカクテルを登場させている「アーネスト・ヘミングウェイ」の第二次世界大戦を舞台にした小説「河を渡って木立の中へ」の中で、主人公がバーテンダーマティーニを注文する際に、「モンゴメリー将軍で」と頼みます。これは15:1のジンがより多いドライマティーニの事で、アフリカ戦線の連合軍総司令官モンゴメリー将軍が、ドイツとの戦力比が、
15対1にならないと決して攻撃を開始しなかったことと引っ掛けている言葉遊び的なセリフです。マティーニはもともと、「ジンアンドイット」というカクテルの原型です。英語表記だと「Gin&It」です。イットとは、イタリア(Italy)のことを指しています。昔のレシピは、ジン:ヴェルモット=1:2と今のレシピより、ヴェルモットの割合が多く、今のレシピより甘さを感じて飲みやすかったので、食前酒(アペリティフ)として飲まれていました。時が進むにつれて、使用されるヴェルモットもよりドライなものに変わり、ジンの量も増えて、一時はよりドライな「マティーニ」が流行りはしたものの、今のレシピに落ち着きました。ドライな「マティーニ」が大好きだったイギリスの元首相「ウィンストン・チャーチル」、酒好きで有名な作家「アーネスト・ヘミングウェイ」等、行動派な彼は1936年~1939年に起こったスペイン内戦に人民戦線政府軍として積極的に関わったりしていました。その時には、ジンとヴェルモットのボトルをぶら下げていたとまで言われています。

 

次回は「no.105 Gin Base 4」です。お楽しみに^^