お酒のあるライフスタイル

現役Bartenderがお酒のことについて発信します

no.69 ジャパニーズ3

 

本日はジャパニーズウイスキーの最後の回です。サントリーウイスキーの次に飲まれているニッカウヰスキーのラインナップをみていきます。ところで、サントリーもニッカもウイスキー作りの始まりは竹鶴政孝という人物、サントリーウイスキーの先駆者でありニッカ創業者でもあります。

 

代表的な3つのブランド①竹鶴②宮城狭③余市を紹介していきます。

 

①竹鶴

 

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「日本から来たひとりの若者が、1本の万年筆とノートで、わが国門外不出のウイスキーづくりの秘密を盗んでいった。」1962年に来日した、後のイギリスの首相ヒューム氏の言葉です。その若者こそが、ニッカウヰスキー創業者、竹鶴政孝でした。1918年、24歳にして単身スコットランドに渡欧。何のつてもなく、持っていたのは“日本で本物のウイスキーをつくりたい”という情熱のみ。政孝は持ち前の勤勉さと積極的な行動で多くの蒸溜所の門を叩き、苦難と充実の2年間を経て、本場のウイスキーづくりを習得しました。厳しい北の自然に囲まれた余市蒸溜所の伝統の「石炭直火蒸溜」から生まれる力強いモルト。一方、美しい森と清流に囲まれた宮城峡蒸溜所でつくられるやわらかで華やかなモルト。「竹鶴ピュアモルト」は、ニッカが誇る2つの上質なモルトをヴァッティングしています。

 

余市

 

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スコッチの「ハイランド」の蒸溜所と同じように、力強くしっかりとした味わいのモルト原酒をつくることを目指し余市に蒸留所を創業。北に日本海を臨み、三方を豊かな自然あふれる山々に囲まれた余市は、まさに日本のハイランドとして竹鶴に選ばれた地なのです。モルトウイスキーの原料である大麦や、スモーキーなフレーバーを加えるためのピート(草炭)が豊富であることも幸い。余市の一番のこだわりが「石炭直火蒸溜」です。竹鶴は自らが学んだロングモーン蒸溜所の方式にならい、この蒸溜方式を採用しました。余市モルトの重厚でコクのある味わいや香ばしさを生み出すために今現在もこの伝統の技を守り続けているのです。蒸溜の際に使われるポットスチルは、下向きのラインアームを持つストレートヘッド型。アルコール以外のさまざまな成分を残しながら蒸溜が進むため、原酒に複雑で豊かな味わいを与えます。800〜1000℃もの高温になるポットスチルを、絶妙なタイミングで石炭をくべながらまんべんなく熱し、適度な「焦げ」をつくる。余市モルトには潮の香りがする」という表現もよく聞かれます。石狩湾から吹く海風のフレーバーを樽が吸収し、熟成の長い歳月の間に原酒に溶け込んでいるのかもしれません。

 

③宮城狭

 

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「異なる蒸溜所で生まれた複数の原酒をブレンドすることで、ウイスキーはより味わい深く豊かになる」という信念を抱く竹鶴にとって、第二の蒸溜所は夢を実現するためにどうしても必要なものだったの。竹鶴政孝が第二の蒸溜所に求めていたのは、余市蒸溜所とはまったく異なる個性を持つ原酒づくり。スコットランドの「ローランド」のように華やかで軽快なモルト原酒をつくることによって、「ハイランド」のような余市ブレンドすると幅と奥行きを与えることができると考えていたのです。気候風土がローランドに似通った宮城峡に建設地を決めると、竹鶴は蒸溜においても余市蒸溜所とは異なる「蒸気間接蒸溜方式」を選択しました。この香りと味わいをつくり出すために、宮城峡モルトはスチームによる間接蒸溜を採用。上向きのラインアームを持つバルジ型のポットスチルを使い、約130℃でじっくりと蒸溜します。蒸溜の過程で蒸気と香味成分が何度も繰り返し釜に戻り、その間に洗練された香りと味わいへと凝縮されていきます。

 

以上ニッカウヰスキーをみていきました。

次回は「no.70 カナディアン/アイリッシュ」です。お楽しみに^^

 

 

ブレーブ・ブル(Brave Bull)

Recipe

テキーラ/カルーア