お酒のあるライフスタイル

現役Bartenderがお酒のことについて発信します

no.54 樽熟成

本日は蒸留と同じくらいウイスキーにとって重要なテーマ「樽熟成」についてです。

 

f:id:amareepace13:20171023144200j:plain

 

ワインでも樽熟成について触れましたが、熟成の基本的な考え方は

お酒(エタノール水溶液)の味をまろやかにするための工程」と考えられます。

時間をおいて熟成させるとエタノール分子と水分子が結合し、口に含んだ際にも水がクッションの役割を果たしまろやかな味わいを感じやすくなります。

 

①樽の種類

ウイスキーの貯蔵に使われる樽は主に5種類。容量480Lの「パンチョン」「シェリーバット」「ミズナラ」 と容量230Lの「ホッグスヘッド」、180Lの「バーレル」に分けられる。樽の種類によってウイスキーの品質は大きく作用され、樽の容量が小さければ小さいほど単位容量当たりの樽の表面積は大きくなるので樽の影響が強く出る。「パンチョン」「ホッグスヘッド」「バーレル」はホワイトオークで作られ、ミズナラは日本産のミズナラから作られる。シェリーバットは名前通り、シェリーを貯蔵した樽を用いる事に由来している。

 

②チャー

ウイスキーには樽からもたらされる木香は不可欠である。何もせずに樽に蒸留液を注ぐと樽からの影響が強く出てしまい、「樽負け」してしまう。これを防ぐために樽の内側を焼いて木香を弱める事を「チャー」と言います。これにより、ウイスキーにバニラのやはちみつの風味、香ばしさなどが移りやすいとも言われています。

 

③樽の寿命

一般的に樽は6,7回樽熟成に付き合い、トータル約70年ほど有効に活用されます。熟成が終わった後も解体され、コースターなどのダイニング商品やDIYインテリアなどで良く重宝されます。

 

④天使の分け前

ウイスキーを貯蔵している間、樽の中を確認すると中の液量が少しずつ少なくなっていることがわかる。年間約2~4%少なくなるのだが、これを「天使の分け前」と呼び、天使に微量のウイスキーを献上する代わりに熟成によってウイスキーを美味しくしてもらう。これは樽のわずかな隙間から揮発成分が抜けて行ったり、樽自体がウイスキーを吸収する事が原因です。

 

このようにウイスキーの樽熟成は製造工程の一部として欠かせません。科学的にも研究はされているのですが正直わからないことが多いというのが現状です。しかし、科学的にわからないからこそウイスキーをゆっくり飲みながら考えると実に神秘的で心が満たされる事もあるかもしれません。

 

次回は「no.55 ウイスキーの楽しみ方」です。お楽しみに^^

 

 

オリエンタル(Oriental)

Recipe

ウイスキー/スイートベルモット/ホワイトキュラソー/ライムジュース