お酒のあるライフスタイル

現役Bartenderがお酒のことについて発信します

no.137 Sake 7

 

第四回は東海・近畿エリアです。

 

醸し人九平次

 

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ミシュランガイドの三ツ星レストランのワインリストに並ぶほど、国内外で活躍する愛知の蔵元。1997年、彗星の如く登場した酒は、若き15代目 久野九平冶さんと同年代の若い蔵人が「エレガント」というキーワードで酒を造り続けている。300年かけて湧き出る水を仕込み水にする酒は、ワイングラスでフレンチとともに味わいたい。フラッグシップ的な一本は「純米大吟醸 別誂」。甘みと酸味のバランスがよく、心地よい香りが日本酒らしからぬ期待を膨らませてくれる。

 

而今

 

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2004年に三重県から登場した「而今」。東京や大阪の地酒専門店を皮切りに圧倒的な支持を得て、今や全国の酒処で置かれる人気銘柄である。6代目を継ぐ蔵元杜氏の大西唯克さんは20代のころから注目されるスター杜氏で、すべての酒造りの工程で精緻な設計と検証を繰りかえす。クリアでフルーティな飲み口と、綺麗な甘み、爽やかな酸味が絶妙に調和し、飲み飽きることがない。「而今 純米吟醸 千本錦火入れ」など、ふわっと口に広がる甘みが美味しい。イタリアンとも相性がいいので、ワイン感覚で楽しんでみてもいい。さらにフルーティな味わいのにごりざけもぜひ。

no.136 Sake 6

 

第三回は甲信越・北陸エリアです。

 

①久保田

 

 

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越後新潟の端麗辛口を代表する蔵元。天保元年(1830)創業以来、屋号を冠した「久保田」の銘柄を造り続けている。すっきりした味わいと飲み飽きしない淡麗さは、料理を選ばず、世代や性別も超えて愛されている。久保田シリーズの最高峰「純米大吟醸 久保田萬寿」は、やわらかな口当たりと調和のとれた旨みがある。酒米・五百万石を50%精米し、朝日地内を流れる地下水脈の雑味が少ない軟水を仕込み水に用いる。

 

川中島 

 

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長野発祥の蔵元の一人娘である千野麻里子さんが杜氏を務め、たゆまぬ努力とその抜群のセンスで、全国新酒鑑評会金賞受賞など、数々の受賞歴を重ねている。華やかな香りとすっきりとした味わい、そしてふくよかな旨みが特徴の川中島 幻舞は、杜氏の自信作。なかでも「川中島 幻舞 大吟醸 Premium」はマスクメロンのような香りと優雅さがある原酒。また、瓶内発酵の生酒「Kawanakajima‐Fuwarin」は、天然炭酸ガスが舌の上でシュワシュワと弾ける、純米のシャンパン。

 

③亀齢

 

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信州・真田家のお膝元、長野県上田市の北国街道の宿場町にあり、寛文5年(1665)創業。落ち着いた佇まいの酒蔵は、昔ながらの町並みにしっとりと馴染んでいる。2003年から杜氏を務める岡崎美都里さんは東京農大醸造学を学んだ女性杜氏。長野の酒米・美山錦やひとごこちなどを使い、透明感のある酒造りを行なう。「信州亀齢 純米酒ひとごこち」は、すっきりした飲み口で、肉料理などの味付けのしっかりした料理に合う。辛口タイプで、燗酒も美味しい。

 

 

 

no.135 Sake 5

 

第二回は関東エリアです。

 

鳳凰美田

 

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美しい田園のなかにある小さな蔵ながら栃木を代表する銘柄を輩出。最近は需要に対し供給が追い付かず、入手困難。昔ながらの和釜で米を蒸し、佐瀬式の酒槽でやさしく絞り、丁寧に醸す。すっきりとフルーティな香りと吟醸香が前面に押し出され、強い甘味と複雑な旨みが口に広がる。限定品の「鳳凰美田 純米大吟醸 Gold Phoenix」はイタリア・モンティエロッサ製シャンパンボトルを使用。華やかな席にぴったりだ。また梅酒やあんず酒などもあり、女性へのプレゼントにも好適。

 

花陽浴

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次世代の日本酒を担う新進気鋭の蔵元と姉夫婦の3人が一貫して手づくりにこだわる吟醸酒。果実のような高い香りと上品な蜜のような甘み、酸味とともにコクもある。これぞ吟醸酒と、ひざを打ちたくなるのが花陽浴だ。「花陽浴 袋吊斗瓶囲純米吟醸八反錦」は55%磨きで袋吊りの雫酒でうっすらと白い無濾過生原酒。雑味の無いクリアの味わいと爽やかな酸味を実現し、発酵食品の漬物や味噌などを使った料理と合わせると、味の相乗効果が楽しめる。

no.134 Sake 4

 

本日からエリアごとのお勧めの日本酒をご紹介していきます。

 

一回目は北海道・東北エリア。

 

①田酒

 

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名前の通り、田んぼの米のみを使う酒ということで、純米酒造りにこだわる。幻の米といわれた地元青森の古城錦を復活させ、やはり県産の酒造好適米・華想いを使用するなど、青森の地酒の立ち位置を貫いている。「田酒 特別純米酒 山廃仕込」は穏やかな香りと米の旨みがしっかりと感じられ、山廃らしい酸味もある飽きのこない一本。「田酒 純米大吟醸 百四拾」は華やかな吟醸香とまろやかなふくらみがある。

 

②no.6

 

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新政の唯一の定番生酒。6号酵母の魅力をダイレクトに表現することを目的に醸造されるラインが「NO.6(ナンバーシックス)」である。本来、日本酒の生酒は冬の新酒から翌年の春先まで、つまり気温が低い時期のみ出荷するのが妥当といえる。無殺菌で酵素も失活されていない日本酒の生酒は、6度以下、つまり冷蔵庫の中でしか品質を維持できない。このため温暖期における出荷は、変敗リスクが高いため、避けられてきたのである。しかし「NO.6」は、蔵内でのマイナス5度以下の貯蔵管理体制、そして厳選された銘酒専門店のみで販売することで、鮮度の高い生酒、それも市場においてもたいへん珍しい生酛純米の生酒を、通年でお届けすることを可能にしている。地域性を尊ぶために、秋田県で栽培された米のみを用いて醸造酒母には、天然の乳酸菌を活用する伝統製法「生酛」のみを採用。また、培養された酵母を使用する際は、当蔵で昭和5年(1930年)に採取された「きょうかい6号」(六号酵母)のみを用いております。酒税法上、あらゆる酒類において、安全醸造のため用いられる添加物についてはラベル記載義務を免れています。代表的なものは、速醸酒母や補酸に用いられる「醸造用酸類」、あるいは「除酸剤」、麹の代替として使われる「酵素剤」、発酵助剤である「無機塩類」・「ビタミン類」などです。新政酒造では、醸造における純粋性を尊ぶために、これらの添加物は不使用。

 

③くどき上手

 

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明治8年(1875)創業の亀の井酒造という老舗酒蔵で、出羽三山で知られる羽黒山の門前にある。「くどき上手」はインパクトのあるネーミングと浮世絵のラベルで一躍全国区の酒になった。酸の少ない酵母を使い、上品な味と香り、米の旨みたっぷりの独特の味わい。さらに、くどき上手のイメージを覆す超辛口吟醸酒「くどき上手 ばくれん 吟醸酒 超辛口+20」もある。蔵内で約2年間熟成させることで、ただ辛いだけではない、品のよい吟醸香も持ち合わせて、料理を選ばず、飲み飽きせず、美味しい。

 

④飛露喜

 

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福島県会津坂下町、越後街道沿いにある廣木酒造本店は、古くから「泉川」の銘柄で親しまれてきた。1999年に世に送り出した新ブランド「飛露喜」(ひろき)は瞬く間に日本酒界を席巻。甘み、旨み、香りが三位一体となった、いつ飲んでも旨いオールマイティな酒。スタンダードな一本は「特別純米 飛露喜」。フルーティでなおかつしっかりした旨さがあり、長い余韻を持ち、飛露喜(ひろき)は「喜びの露が飛び散る」という名前にふさわしい。また「無濾過生原酒」のジャンルを広めた功績も大きい。

 

写楽

 

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福島の酒を代表する銘柄。福島県東日本大震災後の2013年から3年連続で全国新酒鑑評会の都道府県別金賞一位を獲得するなど、生産者の努力を背景に高品質の酒を生み出す地である。フレッシュで鮮度のいい酒でありながら、骨格がしっかりとした酒、それが冩楽だ。ふな口からの酒をそのまま送り出すイメージを大切にし、丁寧な造りを行い、搾りたての酒の旨みと躍動感を大切にしている。「冩楽 純米吟醸おりがらみ」をはじめ、システムエンジニアから酒蔵を継いだ宮森義弘さんが米の旨みと可能性を追求している。料理を選ばない究極の食中酒。

no.133 Sake 3

 

本日も引き続き日本酒についてご紹介していきます。

 

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今日は先日も触れた「製造工程の違い」による名称の違いを別の視点から見ていきます。

 

下の図をご覧ください。

 

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①生貯蔵

滓引き、濾過の後火入れをせずに貯蔵し、出荷前に火入れをしたもの。

 

②生詰め

滓引き、濾過した後に火入れして貯蔵し、出荷前に火入れをしないもの。秋口に出荷されるものを「ひやおろし」と呼ぶ。

 

③生酒

貯蔵前も出荷前も火入れをしていないもの。酵母が生きているので温度管理が重要。

 

④原酒

滓引きした後、濾過する前の上澄み。加水はせずに二度の火入れをします。アルコール度が高いのが特徴。

 

⑤生原酒

原酒を火入れせずに瓶詰したもの。搾りたてを飲むのに近い味わい。

 

 

日本ではもろみを絞っていないお酒を「どぶろくと呼び基本的には販売してはいけないことになっています。ですので、現在販売されている濁り酒は「絞っていないお酒」ではなく、「荒く絞った酒」もしくは「絞った後に酒粕を混ぜた酒」の事といえます。甘味や旨味が強い。

 

 

no.132 Sake 2

 

本日は「日本酒の味と香り、温度」についてご紹介します。

 

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日本酒は味わいや香りに合わせて大きく4つに分類できます。

 

①熟酒

香りも味も濃厚なお酒。熟成酒などがここに当たります。

②醇酒

香りは淡く味が濃厚なお酒。純米酒や山廃など。

③薫酒

香りが濃く味が淡いお酒。主に吟醸系が含まれます。

④爽酒

香りも味も淡いお酒。さっぱりとした生酒などです。

 

香りも段階的に呼び名が付けられます。

 

①上立香

お酒を口に入れる前の器から立ち上る香り。

②含み香

お酒を含んで最初に感じられる香り。

③吟香

含み香から変化し、飲み込む瞬間に感じる香り。

④返り香

飲み込んだ後鼻に抜ける香り。香りの後味。

 

温度による日本酒の呼び名。

 

①飛切燗(55°前後)

②熱燗(50°前後)

③上燗(45°前後)

④ぬる燗(40°前後)

⑤ひとはだ燗(35°前後)

⑥日向燗(30°前後)

⑦冷や(20~25°)

⑧涼冷え(15°前後)

⑨花冷え(10°前後)

⑩雪冷え(5°前後)

 

一般的に、人間の舌は温度によって甘みや酸味の感じ方が違い、温度が低いほうが酸味を感じやすく、温度が上がると甘み(旨み)や辛味を感じやすくなります。

 

 

no.131 Sake 1

本日から10日間にわたって日本酒をご紹介します。

 

初回の今日は「日本酒の定義と分類」についてです。 

 

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日本酒といえば皆さんは何のブランドを思い浮かべるでしょうか。

 

プレミアムな日本酒として有名な「獺祭」や「十四代」、もしくは「八海山」や「久保田」かもしれません。若い方はあまり日本酒に馴染みがないかもしれませんが、少し勉強するだけで楽しめるのが日本酒のいいところです。複雑な分、種類も多く違いが分かりやすく、ワインやビールに比べても比較的リーズナブルに楽しめます。

 

では日本酒の定義から見ていきます。

日本酒の定義は、「米と麹と水を原料とし、発酵後に濾過した、アルコール度数が22%未満の醸造酒」とされています。

 

ここで一つ疑問が出てきます。「麹って何?」

麹とは簡単に言うと東洋特有の微生物の王様です。日本独特の気候風土により自然発生した世界でも類を見ないこの微生物は、デンプンをブドウ糖に、タンパク質をアミノ酸に分解する性質が強く、しかも効果的に脂肪を分解吸収するので、東洋微生物の王様とも呼ばれています。麹そのものを食することはありませんが清酒のほかにも、味噌、醤油、鰹節などの発酵製造に利用され、日本人の食生活には欠かすことのできない存在です。

 

日本酒を選ぶ上で一番わかりやすい、実用的な分類分けを2つまずはご紹介します。

 

①製造過程においてアルコールを添加するかしないか

 

日本酒の製造過程において味の調整や香りを引き出すことを目的として、最大10%までアルコールの添加が許されています。アルコール添加をしていないものを「純米酒」と呼び、添加したものを「本醸造酒」と呼びます。純米酒醸造の過程で造られた糖や酸をしっかりと感じられる、どっしりとした飲み口のものが多く、お米らしい甘みや香りを楽しむことができます。またアルコールを添加しているからと言って品質が低いというわけではありません。もろみの中で麹と酵母が活躍することで、アルコール以外にもアミノ酸や醸し切れなかった糖が発生します。これは日本酒の特徴である旨味になりますが、多すぎると逆にくどくなり、慣れていない人にとっては飲みにくさの元にもなります。アルコールを少量加えることでこれが緩和され、すっきりとした飲み口になるのです。

 

②精米段階でどれくらいお米を磨いたか

 

精米歩合と呼ばれる精米段階でお米をどのくらい磨いたかが、日本酒の風味や香りを引き出すうえでとても重要になります。精米歩合が低い米で仕込んだもろみには、麹の作った糖以外の栄養素、つまり米由来のアミノ酸などがほとんど無い状態になりますが、これは酵母菌にとっては住みづらい環境なので、酵母自身が生存していくためにアミノ酸やリンゴ酸などの有機酸を作り出します。これが香りや風味の源となります。精米歩合が60%以下のものを吟醸酒、50%以下のものを大吟醸酒と呼びます。